あの傑作経済ボードゲームが、ついに完全版で帰ってきた!
長らく再販が途絶え、市場で高値で取引されていた『ナショナルエコノミー』。
その三部作すべてを収録し、コンポーネントとアートワークを大幅に刷新した『完全版』の発売はまさに夢のような出来事でしょう。
私自身、もう手放してしまいましたがオリジナルとメセナを所有して遊んでいた身としては、この完全版の登場に興奮を抑えきれませんでした。
しかし、旧版をプレイしていたからこそ気になるのが、旧版を持っていてもなお「本当に買い換える価値があるのか?」という点ではないでしょうか。
この記事では、旧版を遊び尽くした私が、完全版を徹底的に検証します。
買い替えを迷っている方、長年の復刻を待ち望んでいた方は、ぜひ最後までご覧ください。あなたの購入への判断材料となるはずです!
旧版からの進化・変更点
カードデザイン・サイズ
ナショナルエコノミーはボードゲームの中でもカードゲームに分類です。
描かれている絵は旧版のリアル描写からフラットデザインのモダンなデザインに変更されています。
また、建物カードは背景も色調も黄土色xクリーム色の組み合わせからシックな黒に統一されてとってもカッコよくなっています。
消費財カードは旧版ではバナナが描かれていましたが、完全版ではなぜか全てダンボールに変更。バナナが特徴的なゲームでもあったのでここは少し残念な変更点と感じました。
カードサイズは旧版ではポーカーサイズの63mm x 88mmでしたが、完全版ではアメリカンサイズの57mm x 88mmに変更になりました。
カードが少しだけ小さくなることで多くのカードが場に出ても並べやすく、後ほど紹介する収納面でも大きく変わってきています。
労働者コマ
旧版ではナショナルエコノミーの特徴であった元気なおっさんが描かれていた労働者カードはなくなり、シンプルな労働者コマへと生まれ変わりました。
カードからコマに変わるだけで実際にプレイしている時の質が高まり、カードゲームではなくボードゲームをしている感覚が高まります。
お金・金庫
このゲームで一番やりくりが大変なお金ですが、こちらも変更点があります。
変更点はカードからタイルに変更になったことです。
以前だとカードに印字された金額と背景の色変わるだけで少し味気ない感じがありましたが、今回からタイルに変更になったこととそれぞれの金額によって形や大きさが異なり、認識性と触感の満足度が向上しました。
また、お金はケース(金庫)に最初から入っていて、ケースを開けることですぐにプレイすることができるようになります。
ケース本体は銀行の役割をになって、開けた蓋は裏返せばそのまま家計として使うことができるので、非常に便利になっています。
スタートプレーヤーマーク
旧版では他のお金カードや労働者カードと同じサイズのカードでスタートプレイヤーカードが用意されていましたが、完全版ではスコップのデザインの木駒として生まれ変わりました。
このスコップのデザインはナショナルエコノミーの世界観とマッチしていてプレイ中の没入感を高める役割を担う存在になっています。
未払い賃金カード・勝利点カード
唯一の残念な変更点が勝利点カードと未払い賃金カードです。
カードのデザインが多少変更になっただけで、カードという性質は変わりませんでした。
お金チップ同様こちらもタイルにしてもらえればよりゲーム全体の質感が向上したのではないかなと思います。
ラウンドカード等の共通化
旧版は基本とメセナの2つのシリーズを所有していました。
その中で困っていたのはラウンドカードと初期一般職場と消費財カードがダブルことでした。
それぞれの単独でしかプレイできないため、カードを混ぜることもできず、シリーズが異なるナショナルエコノミーを所有していたら上記のカードが余分にあって収納にも困ってはいました。
今回の完全版ではこれらのカードは共通カードとして内容物に含まれており、プログレス(基本)、メセナ、グローリーそれぞれの建物カードと組み合わせて遊ぶことができるようになり、収納面においてもスッキリさせることができるようになりました。
カードにスリーブを付けて収納できるようになった
もう一つの旧版の残念な点だったのが、箱が内容物に対してピッタリの設計になっていたため、カードを保護するためにスリーブを付けてしまうと、箱へ収納することはできませんでした。
そのため、スリーブをつけるのであれば、箱に収納するのを諦めて別で買ってきたカードストレージボックスに収納することを余儀なくされたものです。
今回の完全版では共通カード、シリーズ別カードそれぞれに紙製のケースが用意されていて、そのどれもがカードを収納したとしても比較的余裕のあるスペースがある設計がされていて、スリーブを付けても問題ないような嬉しい変更点となっています。
プレイ感の変化について
ここからは旧版を体験した私が感じた完全版のプレイ感の変化について紹介します。
ゲーム準備はスムーズ
シリーズがいっぱいあって準備が大変そうなイメージがありますが、シリーズ共通ボックスと遊びたいシリーズのボックスを一つ、未払い賃金カード・勝利点カードボックス、労働者コマ、スタートプレイヤーマーカーと金庫ボックスを箱から取り出せば、大方準備は完了します。
カードが入っているボックスから必要なカードを出して並べ、金庫ボックスは開けるだけでサプライになり、上蓋はひっくり返せばそのまま家計として使用することができます。あとは労働者コマとスタートプレイヤーマーカーをセッティングすれば準備完了でゲームを開始することができます。
プレイ時はボードゲーム感が増す
私が最近ボードゲームを購入するとき、コンポーネントに木駒やタイルがちゃんと含まれているかに一番の重きを置いています。
旧版では全てがカードでのプレイとなっていたので、どうしてもカードゲームをプレイしている感が拭えませんでした。
完全版ではメインの建物カードなどはカードになっていますが、労働者が木駒になったり、お金がタイルになりました。労働者コマをカードに配置したり、労働者への賃金の支払いや建物を売却したときに移動するお金がタイルになるだけで見た目ももちろんですが、手に触れる感触に変化が出てボードゲームをしているという実感が増しました。
おしゃれなモダンデザイン
旧版ではリアルな写実風の建物の絵に土を彷彿とさせる黄土色の背景色のカード、さらに労働者カードに描かれているヘルメットを被ったガチムチのサングラスをかけた工事現場のおっさんが組み合わさりどちらかというと汗臭いイメージが漂ったデザインだなと今となっては思います。
完全版では黒を基調とした背景にフラットデザインの建物の絵を使用してとてもおしゃれな建物カード、労働者コマはヘルメットを被っているようなプリントはされているものの無個性の表情のないコマとなっています。全体的に見ると現代的なスタイリッシュなデザインに統一され、プレイ感としては非常に満足のいくものとなっています。
スリーブで収納するとどんな感じ?
旧版ではスリーブを付けてしまうと箱に収納できないという問題が発生していましたが、完全版ではその問題を解決するために収納ケースにはスリーブをカードにつけた厚みを考慮してスペースを余分に設けてくれました。
では、実際に各カードを収納ケースに収納するとどうなるのか検証してみました。
今回使用したスリーブはホビーベース 両表面エンボスマットスリーブ ボードゲームサイズ・ソフト CAC-SL57です。
ボードゲームで使うカードにつけるスリーブは収納面のことを考えてなるべく薄く、そして山札を作った時に崩れにくいソフトエンボスタイプを採用しています。また通常のツルツルしたスリーブではプレイ中に手汗がついた時にスリーブをつけたカード同士がくっついてしまう恐れがありますが、エンボスタイプだとくっつきにくくなる特徴もあるので、ツルツルタイプに比べると少し高くなってしまいますが、非常におすすめです。
こちらがスリーブを付けた状態でカードを収納ケースに入れた状態です。

シリーズ共通とプログレスはまだ比較余裕がありますが、メセナとグローリーは結構パツパツでもうあまり余裕はないです。一番カードが多いメセナを基準に収納ボックスを設計したんだろうなということが伺いしれます。
ソフトスリーブでこのキチキチ感なので、厚みがあるハードスリーブでは収納ケースに入れて収納することはまず不可能でしょうね。
最後に
ここまでお読みいただきましてありがとうございます。
今回は長らく絶版になっていたボードゲームナショナルエコノミーが完全版として帰ってきたので、旧版を所有していた私がその変更点を中心に紹介してきました。
ナショナルエコノミーはいつもお金のやりくりに悩まされてとてもプレイが難しいゲームですが、その分次やる時はうまく立ち回りをしてみようと何度もプレイしてみたくなる中毒性の高く面白いゲームでもあります。
旧版に比べて収納面が改善されているのはもちろんのこと、カードデザインがモダンでおしゃれになっていることやその他のコンポーネントがカードから木駒やタイルに変更になっていることでよりプレイの満足感が高まる仕様となっていて非常におすすめのゲームの一つであることは間違いありません。
それでは、また。
