上司になったら持つべき心構えを中国の古典『貞観政要』から学ぶ 〜その2〜

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プレイヤーから管理職になってしまって、どのようなリーダーに目指せばいいのかとお悩みの方に持つべき心構えを紹介する記事で、今回は第二回となります。

まだ前回の記事を読んでない方はこちらもぜひ一読いただきたい。

今回も貞観政要からリーダーが持つべき九徳の心構えを紹介します。

九徳

にして(リツ)

寛大な心と不正を許さない心を持て!

部下が何か失敗したとしても、すぐに目くじらを立てて怒るのではなく、許す心を持ちましょう。
その態度で部下はあなたを慕ってくれますし、職場の雰囲気は穏やかになります。

どんなちょっとした不正でも見逃すとそれが引き金にどんどん大きな不正に繋がってしまいます。不正は絶対悪なので、見つけたら即潰し、それが発生しなくなるような環境を作りましょう。

柔にして立

柔和な姿勢とやり遂げる姿勢

物腰が柔らかいだけで人はあなたに近寄ってきます。
いつも機嫌が悪い人に近寄りたいと思いますか?絶対に思わないですし、距離を置きたいものです。
機嫌がいい人のところには人が集まり、人が集まることで情報も集まってきます。
部下が何か話しかけてきた時はどんな状況でも機嫌よく対応することを心がけましょう。

一度決定したことを中途半端に投げやりな態度を取るリーダーに誰がついていくでしょうか?
そんなリーダーには誰もついていかなくなりますし、出した指示を誰も聞かなくなるでしょう。
一度決定したことは責任を持って舵取りをしつつ、必ずやり遂げる姿勢を持つことで、このリーダーについて行こうと人は思うことは間違いありません。

(ゲン)にして恭

真面目な態度と丁寧さ

何事にも真面目に取り組む姿勢を見せれば、部下もその姿勢を尊敬し必ずついていこうと思います。
しかし、真面目だけでは仕事はうまくいきません。仕事が丁寧であることが重要です。

性格は真面目だけど、アウトプットされた成果物が目に余るほど雑であれば、誰も尊敬しようとは思いません。また、歩き方や身振り手振りといった普段の所作の一つ一つからどういった人かがわかってしまいます。やらなければいけない仕事一つ一つに丁寧に取り組み、普段の小さな行動一つ一つどれをとっても丁寧な所作を心がけるようにしましょう。

乱にして敬

問題解決能力があり、謙虚な姿勢で相手を尊敬する

部下が何か失敗をしてしまった時は上司はその責任を取る必要があります。
相手に謝れば済む問題であれば、頭を下げるだけで済みますが、その失敗で起こってしまった問題を解決しなければならないこともあるでしょう。
問題解決能力は一朝一夕に身につく物ではありません。答えのない問題に対して、どのようなアプローチが必要かを日々積み重ねていくことで培われていきます。また、世の中で起こっている事件や問題に関心をむければ、それに付随して解決策を頭にインプットしていければ、自分に降りかかった似たような問題に対して最適な解決方法が見つかることもあるはずです。

相手の話を聞くときに傲慢な態度の人に対して腹を割って話をしたり、相談することはできるでしょうか。そんな人とは距離を置いて、関わりたくないと思うのが普通だと思います。謙虚な姿勢で相手に接し、相手を尊敬していると体で表現することで、相手も話しかけやすくなり、関係性も穏やかになるはずです。

唐の時代、家臣たちは皇帝李世民の部屋に入って何か意見をする時にとても緊張をしたそうです。そりゃ、国のナンバー1に対して何か意見を述べるから当然でしょう。何かまずい発言をしただけでも自分の身がどうなるかわからない時代です。そのことを気にかけていた李世民は家臣たちの緊張を解くために、話を聞く時は笑顔を絶やさず、相手の話を真摯に聞いているぞという態度をとったそうです。
上司が部下の話を傾聴する態度を示すことで部下が話しやすい雰囲気を作るのも上司の役目だと思います。

擾にして毅

大人しい性格で毅然とした態度を持つ

普段は冷静沈着な態度な佇まいにも関わらず、何か問題が起こったりクレームが発生したとしても物怖じせず自分の意思をしっかり伝えられる人は周りかの羨望の目を集められるに違いありません。
この性格で思い当たるキャラクターといえば、人気アニメスパイファミリーのロイドさんです。彼のような人がモテるのも当たり前でしょうね。

直にして温

正直に進言するが、温かい心を持つ

何か意見を発言する時に必要なことは当たり障りのないことでなく、本質に迫った正しいことです。
会議中、ある案に対して当たり障りのない発言や間違っているけれど波風を立てたくがないために周りの意見に同調しちゃうことはよくあることだと思います。
しかし、それでは組織や世の中が良くなることは絶対にありません。きちんと自分の意見を言うべきなのです。自分の意見を言う時にも注意が必要で、自分の意見を通すために相手の考えや案を完全否定するのではなく、相手を不快にすることを最小限に抑え、相手を立てつつ、自分の考えを発言しましょう。

簡にして廉

細かいことは気にせず、しっかりしている

部下がやってしまったちょっとしたポカなどを重箱の隅を突くようにガミガミと叱りつける上司は非常に残念な存在だと思います。
姑が嫁の掃除箇所を隅々までチェックするのを見たらゾッとしませんか?それと同じことをやっている器の小さい人間であることは間違いありません。部下がやってしまった小さなミスなど寛大な心で受け止め、そんな失敗を笑い飛ばすぐらいの器のしっかりした人間になるべきです。

しかし、ミスが起こってしまった場合は何かしら原因があるはずなので、次回には絶対に起こらないように再発防止策を講じるようにアドバイスをしてフォローをすることを忘れずにしましょう。

剛にして塞

たくましく、心が充実している

自信がなく、何事に対しても弱々しい態度なリーダーの元で誰がついていきたいと思えるでしょうか。
自分に自信持ってとそれを態度に表すことができることは周囲から見ても一目置かれる存在でしょう。これぞ頼れるリーダー像と言っても過言ではありません。

そんな自信を持つには心の充実していることが絶対必要です。何かが不安である状態で心の平穏が保たれるでしょうか?
不安は主に将来の不確定な出来事に対して、生じやすい感情だと思います。将来のことに対してあれこれと悩むことほど無駄なことはありません。だって、物事はなるようにしかなりませんから。将来を変えることができるのは現在を生きる自分だけです。その現在にできることを精一杯やれば、必ず結果はついてきます。そんな考えで常に冷静沈着に物事を捉えられるようになれば、不安というマイナスな感情を打ち消すことができ、心に安定がもたらされ充実するはずです。

疆(キョウ)にして義

どんな困難も正しくやり遂げる力

こんな言葉があります。

この世には方法は何万通りも存在するが、原則は数少なくしか存在しない。

これに従えば、どんな困難に対しても解決方法は何万通りも存在するでしょうが、その方法は正しい方法から間違った方法、時間がかかる方法、時間がかからない方法など多岐にわたります。
この世の原則を知り、どんな困難に対しても正しく解決できる方法を使ってやり遂げる力を持ちましょう。

最後に

ここまでお読みいただきましてありがとうございます。

今回は貞観政要から九徳の教えを紹介しました。
この九つを全て制覇すれば、ほぼ完璧なリーダーになれることは間違いありません。

しかし、それを行うのは至難の業です。
できることがら一歩ずつ自分の心を変えていければいいのです。
千里の道も一歩から。コツコツやっていきましょう。

悩めるリーダーの少しでも役に立てれば幸いです。

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